1・地元の愛着を育てる
「ここに私の場所がある」
「みんなで作り上げる一枚の絵」ってご存じでしょうか。時折卒業制作などで行われる制作物の形態ですが、たくさんの個性が寄せ集められ、それでいて一つの完成した作品になる「絵」または「彫刻パネル」などです。
そうした作品の素晴らしいところは全体としての完成画であると同時に「自分の作品が生きている」ところです。だからこそ参加した人すべてが全体としての作品にも愛着を持ちやすく、とりわけ「自分が作った部分」にも愛着が持てるのです。そして「ここ、僕が描いたところだよ」「ここは○○ちゃん」というように、誰かに知ってほしくなります。
ペイント列車
鉄道車両の車体をキャンバスにして、沿線の子どもたちの絵をデザインするのは「列車への愛着」、「これ私が描いた部分だよ」という思いを作る一つの方法です。もっとも、車体に無造作に描いてしまっては収拾がつきませんから一定の大きさの正方形のステッカーシートを渡して好きなように描いてきてもらって集め、車体に貼るのです。なお、車体のキャンバスとなるのはドアとドアの間で側面窓より下の部分というようにエリアを決めておいて、そこに一枚ものの再剥離シート(あとではがすのが容易なタイプのシート)を貼っておいてそこに貼るようにすれば車両の全般検査の際にも苦労せずにはがせることでしょう。
つり革オーナー
列車のつり革に自分の名前や会社名、またショートメッセージを記すことができる、それがつり革オーナーです。これはJRではあまり見られませんが地方鉄道では取り入れているところが何カ所かありますね。相場は1年間掲示で5000円くらいから。例えば以下の鉄道会社で行われています。
・由利高原鉄道 ・山形鉄道 ・伊賀鉄道 ・養老鉄道 ・平成筑豊鉄道 など
この方法は鉄道路線を金銭的に応援するものとなりますが、それと共に自分の名前が書かれたつり革にはとても愛着がわき、利用したいという気持ちを育ててくれると思います。それから一つの案としてつり革オーナーの年間費用の80%くらいの乗車券(回数券みたいなもの?)を付与すればいいと思うんです。例えば・・・
「年間費用5000円、うち4000円分オレンジカードつき」
というわけです。すると「乗ってみようか」となることでしょう。ご家族や友人も一緒に出掛けたり、そこで撮った写真をSNSにアップして宣伝効果が上がったりと相乗効果も感じられるかもしれません。
企業がつり革オーナーになる際には、自社の宣伝に走らず「ほっこりメッセージ」や「励ましの言葉」で見た人を元気にするなど、会社のイメージアップ&列車の温かい雰囲気に貢献できるかもしれませんね。
地元学生さんたちの声で車内放送アナウンス
「ペイント列車」の項では「絵の作品」のことをご紹介しましたが、「声」つまり車内放送でもそうしたことができるかもしれません。文化祭でバンドのボーカルを担当する学生さん、アナウンサーや声優志望の一般の方でもいいと思いますが、「沿線住民の方から募集」して、アナウンスしてもらうのです。
知っている人の声が車内放送に使われているらしいと噂になれば、「どれどれ、いっちょ聞きに行ってみようか」となるかもしれませんし、話題になるだけでも十分かもしれません。一つの列車を一人ですべて担当するより、最寄り駅の出発放送+到着放送だけを担当する(つまり駅の数だけ募集する)方がいいかもしれませんね。
私の列車、私の路線
「地元の愛着を育てる」というテーマですが、その一つは「乗るだけの路線」から「関わっている路線」へと変わることが大切だと私は思います。関わり方はいくつもあるでしょう。地元のサークルなどで協力して駅にプランターを置いてお花いっぱいの駅にすることもそうです。きっと「おらが駅、みてけろ」という気持ちを育むことになるでしょう。駅の清掃ボランティアをしてくださっているところもあります。
そうした愛着がますます、個人でも学校や団体を通じても広がっていくといいなと思います。
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※ これらは案にすぎず、JR東日本の社内規定などにより実行不可能ということもあり得ます。
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