SL陸羽号とは
なんだそれ、聞いたことないぞ!という方も多いと思うが、それもそのはず。このSL陸羽号は岩出山城山公園での静態保存機が解体を免れただけでなくクラウドファンディングに成功し美しい姿を取り戻すことを記念してイベント時に掲げるべく作り上げたヘッドマークデザイン、そして架空の列車名なのだから。「奥の細道湯けむりライン」とも呼ばれる陸羽東線沿線の気持ちをつなぎたいとの思いから、あえてピンポイントの愛称でなく「陸羽」とした。
※ このヘッドマークにかかわるグッズ制作は基本的に受け付けていません。
日本海ファクトリーが売り上げの一部を寄付することを目的とする商品化を
計画していますが、それ以外の無断使用を固くお断りします。
陸羽東線とSL保存ヒストリー
陸羽東線は全国的に見ても稀有な存在だった。というのも、その沿線に4体ものSLが静態保存されて現代まで来たのだから。しかしながら「老朽化」という言葉では片づけられないほど、言ってみれば放置に近い扱いにより「これ以上放置できない状態」になってしまい、一度は3体のC58すべての解体処分を決定する運びとなった。
諦めと奮起
展示車両の解体処分についてニュースや市報などで発表されると、たいていのケースでは一部の人たちが残念がる傾向にある。「このSLを眺めて育ちました」とか「この場所のシンボルなのでなくなるのは残念です」などといったコメントが聞かれる。
とはいうものの、その先のこととなると「でもこれだけボロボロですし仕方ないですね」となる人が意外なほど多い。維持にかかる費用、アスベスト処理の必要性その他多くの要素が関わってくるからだ。まさに諦めるべき理由を見出し、ただ見送るようにして解体の日を待つという人が多いのが現状だ。
一方で、「奮起」する情熱を持つ人も中にはいる。陸羽東線シゴハチ歴史保存会代表の大場正明氏はその一人であり、今ではたくさんの人たちに支えられて岩出山・城山公園のC58114の解体回避~修繕保存への道筋を開くことに成功した。すでに解体を終えた中山平温泉駅前のものと、続く2024年1月に解体された西古川のものについても尽力されたがその情熱はそれぞれの地区の「諦め」ムードを打ち破るに至らず残念に思っていらっしゃるのだが、一つとはいえ存続に成功したことは非常に大きな功績と言えるだろう。
守りたいのはただのSLではない
大場氏は「SLという”モノ”を守ることがおもな目的ではない」と言う。この機関車が走ってきた中で築かれた地域の歴史であったり、それを利用した人々の想いであったり、このSLは単なる機械としての存在以上のものをたくさん背負っているという。そう思うとこのSLの存在はとても温かいものになる(火をくべなくても・・)。
もう放置したりしない!
2024年、クラウドファンディングを活用して修繕費用を調達することに成功した。そこで目指したのは「みんなで守る地域の宝」という思いで、良い状態に保つのに必要なのはみんなの情熱だということを掲げている。
この桜が美しい城山公園で大屋根をかけるのはあまりにももったいなく、素晴らしいコラボは維持したい。そうしたことも考えた上での「本当に必要なこと」、「この先も続けていけること」を確立するクラウドファンディングとなる。そしてまた、この街に汽笛が響くようになれば本当に自慢できる街のシンボルにもなりうる存在だろう。
※ 2024年11月29日、汽笛が鳴り響いた。