JNRマークとは?
「JNR」。
それは現在のJRグループ誕生前まで存在した国鉄(日本国有鉄道)の略。
Japanese National Railways。
この3文字をシンボルマーク化したものがこちらのJNRマークです。
国鉄ではかつて「SLの動輪」をデザインしたマークが広く用いられていたのですが、「こだま型」と呼ばれたボンネット型の特急車両151系の登場に際して、この「JNRマーク」が使われるようになり、以後JR発足の直前まで「国鉄マークと言えばこれ!」と認識されるようになりました。
JNRマークはどうやって誕生したの?
このJNRマークは実に評判が良く、「スピード感がある」「スタイリッシュ」「力強い」など、ほぼ好意的な意見ばかり並ぶ印象ですね。確かに秀逸なデザインだと言って間違いないでしょう。
そうするとこれを生み出すためにかなりの費用や労力が費やされたのかなぁ?と思うところですが、
実のところ、「国鉄のマークを制作する」というプロジェクトやそのための公募は実施されませんでした。
ではどうやって誕生したのかというと、なんと副産物だったのです。
このJNRマークが登場したのが1958年の151系登場時だということを先に述べましたが、この車両の登場時に初採用されたものがもう一つあることにお気づきの方もおられるでしょう。それは「特急シンボルマーク」です。こちらはアルファベットの「T」(TokkyuのT)を図案化して作られたもので、この公募に対しては5000件に上る応募があって、先頭部分(車両のおでこ)に取り付けるのにバランスの良い、線対称でシャープなマークが選ばれたのでしょう。
その一方で、もう一つ選考委員たちの目に留まったデザインがそこにはありました。それは先頭部に取り付ける「特急シンボルマーク」にはちょっと向かないものの、ぜひ使用したいと思わせるものでした。
それがJNRマーク誕生の裏事情だったのです。
線対称でなる「特急シンボルマーク」と点対象をベースにした「JNRマーク」。
二つの不滅の傑作デザインがこうして生まれ、JRとなって久しい今も鉄道ファンの心に刻み込まれています。
JNRマークは車両のどこでみられた?
これはいろいろなところにみられました。やはり車両前面というよりは側面の方が配置しやすかったのでしょう。多くの特急電車では運転席下あたりの側面についているケースが多かったようです。
また、気動車では同じく側面ではあるものの、運転席後ろの乗務員扉よりさらに後ろに見られました。客車にはついていた記憶がほとんどありませんが、ユーロライナーなど一部の客車にはついていたそうです。
こうして思うと特急型車両だけのものだったのかと言われそうですが、実はそうでもありません。例えば営団地下鉄千代田線に乗り入れしていた103系1000番代と203系、福岡市交通局の地下鉄に乗り入れていた筑肥線の103系1500番代などは前面右上部(運転席上部)または左上部に掲示されていました。おそらくこれらは「他社線乗り入れ」という共通項があるので他社線との車両区別を明確にする意図があったように思われます。
ということで、おそらく特急型車両を中心に使用し、必要に応じて他でも使ったということではないでしょうか。
JNRマーク探しをしよう!
国鉄型車両の残存数はどんどん減っている昨今ですが、まだある程度の数があります。そんな国鉄型車両にある備品類にはけっこうJNRマークが刻み込まれているのでまるで宝探しのように見つけてはうれしくなります。JR北海道では非冷房車に扇風機があって、その正面中央部にJNRマークが見られます。
また、各席のアッシュトレイもそうですし、メガホンが備え付けられていてそこにJNRマークをしるしたものも見かけたことがあります。
さて、あなたはどこでそれを見かけるのでしょう?