あなたは見たか!幻のトレインマーク
これまで何百種類と登場してきたトレインマークだが、その中にはあまり人目に触れることのなかったマークもあった。ここではそんなマークをいくつか紹介したい。
幻のマークとして有名?「赤富士」
寝台特急富士号のマークはEF65が牽引した時代は円形にシンプルな山の形のヘッドマークが使用されていた。しかし、牽引機をEF66に変更するにあたり新しいデザインにする計画が持ち上がり、下関運転所内で「北斎の赤富士」をモチーフにしたマークが作られた。
残念ながら事情により採用とはならず、引退まで活躍した山型の独特な輪郭のヘッドマークに落ち着き、赤富士はひっそりと保存されてイベントの目玉として時折登場する悲劇のヒーローとなった。
日の目を見るときが来る はずが・・・
以前から終点駅での幕回しの時や数少ない代走運用などで目撃され、存在が知られていたのが特急スーパーおおぞら号のキハ261系専用幕。従来のブルーの背景に丹頂鶴が2羽描かれたものとは全く異なる、青と白のツートンの背景に優雅に飛ぶ丹頂鶴のデザインだ。
スーパーおおぞら号には基本的に振り子式のキハ283系を使用してきたのだが、ここ数年の車両統一化の流れでキハ261系を投入する方針となった。その情報を聞いて「ついにあの幻のマークが登場するときが来たんだな」と思ったのもつかの間、同時に北海道のすべての特急名から「スーパー」を削除することになった。したがって幻のデザインは登場したももの、アクセントになっていた赤い「Super」の文字が取り除かれてぽっかりと空いたものだった。幻のマークは本当に幻で終わってしまったのだ。なお、現役の「OZORA」マークも近い将来LED化される予定であり、風前の灯火である。
最初から2種類のマークが用意されていた特急ふじかわ
1995年10月に373系がデビューした時から今に至るまで特急ふじかわ号にはブルーの濃淡と白で構成された清々しいイラストが使用されているのだが、実はその車両が幕回しを行うときに「あれ?」と思うようなマークが見られることがある。
そこには確かに「ふじかわ」と書かれているのだが、全く違うデザインなのだ。こちらの方が富士山の姿ははっきりとしている。せっかくなら上り下りでそれぞれのマークを使うとか臨時列車専用幕として使うなどの有効活用をすればよいと思うのだが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イメージチェンジを図って準備したケース、最終選考で敗れたケースなど、いろいろな理由が考えられるが、残念ながら幻となってしまったマークたちがいる。しかし、そこにも秀逸な悲劇のヒーローたちがいたことを忘れずにいたい。