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特急踊り子号のプチ・ストーリー
◆特急踊り子号。スーパービュー踊り子号、リゾート踊り子号、マリンエクスプレス踊り子号(成田エクスプレスのE259系使用)を含めると東京・横浜・大宮~伊豆急下田・修善寺 間を結ぶ特急群である。
過去に存在した特急あまぎ号の後を継ぐようにして(また、急行伊豆号の格上げ統合による部分もあり)登場した1981年から現在に至るまで継続して運転されている。185系を使用していた頃には15両編成で運転されるものもあって、JRの在来線特急では最も長い両数で運転する特急列車だったが、現在ではすべてE257系に世代交代となり最長で14両となっている。
デビュー当時、185系は関西・東海地区で先に登場した近郊型電車117系とほぼ同様の仕様で、車両の端にデッキが付いただけという悪評がたっていたこともがあったようだが、斜め3本のストライプというカラーリングがそれまでの国鉄にはなかった斬新なデザインで、湘南や伊豆の海に映える魅力的な外観についてはかなり好評だったようだ。そんな斜めストライプのボディーカラーの方はリニューアルされて一旦は過去のものとなってしまったがまた復活した。一時は旧157系塗装を模した車両と共に、なつかしい姿として注目を集めたが、最終的には初期塗装にすべて統一されて引退した。
E257系とE261系の投入へ
E257系による置き換えが2020年3月改正に始まり、185系の完全引退が2021年春におとずれた。特急あずさの定期運用から完全に離脱した2019年春以降準備が急速に進み、2021年春からは、湘南ライナーに代わる新設の特急湘南号と共通運用となり、座席未指定券やえきねっとチケットレスが実施されている。同時に新幹線乗り継ぎ割引制度が適用外となった。
なお、伊豆急下田方面とともに修善寺方面への編成が引き続き分割・併結運転するため、特急わかしおや特急さざなみなどの房総特急に使用されてきた500番代も転用されている。
加えて、251系スーパービュー踊り子号を置き換えるE261系サフィール踊り子号も登場した。
◆特急踊り子号のトレインマーク
それまでの定型を無視して「L」マークを下に持ってきたデザインの踊り子ヘッドマーク。もっとも、頑なに左上に配して「L」踊り子とするのが不格好なのは議論するまでもない。しかし、黒岩保美氏によるヘッドマークフォントの型を破ってしまったのは残念だった。
(画像をクリックするとHM高画質保管室にリンク)
【HM登場】1981年10月1日
【HM引退】2002年11月30日(エル特急種別廃止)
【HM使用期間】21年2か月
JR東日本がL特急の種別を廃止したのは2002年12月1日。そこからは「L」のマークがぽっかりと消えた。しかし、この些細な変更を含めずに計算すると電車特急のイラストヘッドマークとしては非常に長期間用いられ続けたものであり、39年5カ月にも及ぶ。今のところそれは第一位の記録であるが、2021年12月半ばで特急やくも号に抜かれて第二位になる見込みである。ちなみにそれを超える可能性のある列車はというとJR四国の特急宇和海・特急あしずりあたりだろうがそれまでに置き換えられる公算が強い。
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【HM登場】2002年12月1日(エル特急種別廃止)
【HM引退】2021年3月12日(車両引退)
【HM使用期間】18年3か月
特急踊り子号の派生列車はこれまで数多く設定されてきたが、2012年から2013年にかけての冬の時期に初めてマリンエクスプレス踊り子号という臨時特急が設定され、好評だったためその後も季節ごとに臨時列車として運転されている。
それまで成田エクスプレスとしての運用以外には基本的に就かなかったE259系が他の列車に充当されるということ、さらには専用のトレインマーク・ステッカーが貼られるということもあって、結構大きな話題となった。
もっとも、大きく描かれているNEXのデザイン自体には手を加えられることなく、だれが見ても「あの成田エクスプレス用の車両が使われているんだな」とわかるようになっている。錨のマークがいかにも「マリン」エクスプレスという名にピッタリなデザインだ。(※2020年3月8日の下り列車をもって運転が終了)
特急サロンエクスプレス踊り子
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臨時特急お座敷踊り子
今では見られなくなったが、臨時特急の踊り子号には客車の編成が使用されることもあった。一例を挙げると、1983年当時の写真をこのページでも掲載しているが、お座敷列車を使用して運転されていた臨時特急お座敷踊り子号などがあった。
(画像をクリックするとHM高画質保管室にリンク)
ブルートレインと見間違えるような、円形の立派なヘッドマークを与えられて、EF58が牽引している。EF58の60・61号機が使用されることが多かったようだが一般色も使用された。さらにはEF65 1000番代が牽いていたこともあるとの情報もある。客車特急にもかかわらず左下の方にエル特急の「L」のマークが入っているところが面白い。
特急モントレー踊り子
さらにもう一つご紹介したいのが「モントレー踊り子」号。前橋~伊豆急下田を高崎線、山手貨物線、東海道本線経由で結んだ列車だ。
(画像をクリックするとHM高画質保管室にリンク)
【HM登場】1987年10月3日
【HM引退】1991年2月24日(最終運転日)
【HM使用期間】3年4カ月
三つの山を意味する「モントレー」という語は上毛三山を表していると思われる。そうであれば背景に山を描いても良さそうだがシンプルに四角で囲まれた「M」が添えられたマークとなっていた。
◆特急踊り子号の画像集
特急踊り子号のいろいろ。設定当初には185系だけでなく183系1000番代も使用されていた。ヘッドマークも意外とよく似合っている。
さて、現代でこそ車両そのものが列車名をイメージさせるくらい、各列車ごとにデザインが多様化する時代になったが、国鉄時代にはそうした例は皆無に近かった。したがって、185系基本番代の「斜めストライプ車」=特急踊り子号という、1列車に1デザインを初めて確立した存在と言えそうだ。
とはいえ、国鉄がこの185系に対して持っていた開発コンセプトはそんな成り行きとは全く違っていたようだ。なぜなら、この車両は特急から普通まで、汎用性の高い 車両として開発されたからだ。つまり、185系基本番代=特急踊り子という図式は、ただ単に「特急としては踊り子にしか使わなかった」ということから来ているのだろう。
もっとも、そのイメージは強く植え付けられたが、やがてグリーンとオレンジのブロックパターンが描かれた2次色となった。個性を失ったようで残念に思う人も多かったようだが、そののち旧157系風のカラーリングの車両が現れたり、3本ストライプが復活したりと、バラエティーに富んだ様子が見られるようになった。その一方で、グリーン車(サロ)が大量廃車されるようになっていたりして、今後の先行きが最も不安視されるようになってきている車両の一つでもある。確かに、この車両は現役の特急車両の中でもかなり古参の部類となってきた。
1980年代初頭だから軽く30年を上回るまでになってきている。特急北越などの485系が引退し、それに続くのはきっと特急やくも号の381系かこの185系となりそうだ。愛称幕にみられる国鉄型書体もその古さを物語っている。この字体を見て「懐かしい雰囲気」と感じるか、「古臭い雰囲気」と感じるかは人それぞれだが、時代を感じることだけはきっと間違いないのではないかと思う。
◆客車の特急踊り子号
臨時列車には客車の編成もあり、非常にバラエティーに富んだ列車だった。牽引機関車も画像のEF58のほか、EF65PF機など、東海道の花形電機が先頭に立っていた。ここで使用されたスロ81形お座敷客車は、特急に使用された最後の旧型客車だったそうだ。この後には、14系700番代「サロンエクスプレス東京」客車を使用したサロンエクスプレス踊り子などが登場した。牽引機関車はEF65なども使用されていたようだ。
◆スーパービュー踊り子号
続いて登場した251系スーパービュー踊り子号は、もうすでに「車両そのものが列車名を連想させる」時代の産物だ。「乗ったらそこは伊豆」をテーマコンセプトに活躍してきた。しかし、この車両にも後継車両となる261系を使用する「サフィール踊り子号」の登場が発表されており、251系が伊豆特急の立場から退いて新天地に行くのか、車両そのものが引退となるのか、と心配されている。
このSVOという略号はまるで英語の文法の授業を思い起こさせられるが、言うまでもなくSuper View Odorikoの頭文字からとったもの。
特急踊り子号が登場した当初は、それまで活躍していた特急あまぎ号に使用されていた183系1000番代がそのまま運用についていた。斜めストライプの185系とは非常に対照的な、オリジナリティーのなさにむしろ親しみ深さを感じた。
◆リゾート踊り子号
・こちらは伊豆急行の車両「アルファ・リゾート21(リゾート21・5次車)」を使用して運転されるリゾート踊り子号。この車両の他に黒船電車(リゾート21・4次車)での運転も行なわれている。
※(画像提供:koganeturbo様)