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WIN350のプチ・ストーリー
1992年6月、JR西日本は山陽新幹線における試験車両を開発した。500系900番代を名乗った「WIN350」である。形式名が示す通り時速350キロ運転を視野に入れ、そのテストデータを500系の開発に生かすのが目的だった。この名称はWest Japan Railway’s Innovation for the operation at 350km/h(350 km/h運転のためのJR西日本の革新的な技術開発)の略である。
車両は両端で先頭形状が異なっていた。1号車はのっぺりとした滑らかな曲面によって平滑化したタイプで、運転室もその大きな3次曲面に含まれていた。一方の6号車は運転室部分が張り出したキャノピー形状で、その周囲を取り巻く先頭部の傾斜をさらに緩やかにして長くなっている。
試験走行開始2カ月後の1992年8月8日には時速350.4キロを達成。その成果を受けて1996年に500系の第1編成が投入されたわけだが、その500系が一時は世界最速の営業車両として活躍した通り、高速化実現の礎を据えたと言ってよいだろう。
そしてデザインの点でも高い評価を受け、多大なる人気を集めた500系電車のベースにあったのが「WIN350」なのである。1995年に引退したが、先頭車両は両方とも静態保存されている。
WIN350のロゴマーク
(画像をクリックするとHM高画質保管室にリンク)
【ロゴマーク登場】1992年6月8日(試験走行開始)
【ロゴマーク引退】1996年5月30日(お別れセレモニー)
【ロゴマーク使用期間】3年11カ月
東海道山陽新幹線がかたくなにホワイトベースの青帯という中で、紫がかったラインのコンビネーションは斬新で華やかな印象を与えた。試験車両であったゆえ、ごく短い期間しか線路上で見ることはできなかったが、500系のルーツとして語り継がれる存在だ。